BtoB企業のホームページ集客ポイントと難しいと言われる理由
ホームページを使って集客をしたい。このように考えるのは、消費者を相手にしている会社やお店だけではありません。
最近では製造業など技術力で高度な製品を作り、企業へ販売されている「BtoB」企業でもホームページからの集客を考えておられるところが増えています。
どうしてこのような集客方法を成功させたいのか、経営者の方にお伺いしますと、
- これから先を考えれば自分たちで販売できる(問屋を通さない)仕組みを持っていないと会社が立ちゆかなくなるかもしれない
- いつまでも問屋に頼っていると、自分たちで販売価格を決めることが難しいままなので、正直なところ儲からない
このようなお話を聞くことがあります。
そこで、BtoB企業がホームページ集客をはじめようとされるのですが、なかなか消費者相手の場合とは違い、成功するのが難しいもの。
今回は、BtoB企業のホームページ集客についてお話してきます。
目次
1: BtoB企業のホームページ集客方法
はじめにBtoB企業がホームページ集客で使える方法についてお話していきます。
消費者相手の場合ほどではありませんが方法はあります。
(1)オウンドメディア
自社で運営し、情報発信する「メディア」をホームページで作る方法です。
オウンドメディアとして有名なのが「ライオン」のオウンドメディア「リディア」。どんなものか一度見てみてください。
Lidea『https://lidea.today/』
オウンドメディアの良いところは、自分たちで運営しますから、なんだかんだと難しい制約はありません。
- 自由に企業が発信したい情報を発信できる
- 見てもらえる数が増えるとブランディング効果が期待できる
- 広告を使った流入と同じような役割になる
オウンドメディアはターゲットを絞り込み、ターゲットが知りたいと感じている情報を発信するのがポイントです。
BtoB企業の場合ですと、自分たちのターゲットが知りたいと考えている情報を発信します。また、BtoB企業が消費者を相手にする「BtoC」や「DtoC」の場合なら、消費者が欲しがっている情報を発信します。
ターゲットの「悩み」「不安」「疑問」を掬い取り、解決方法を提供することで、ホームページ(オウンドメディア)上でのコミュニケーションが生まれ、その先に「顧客」という段階へ進んでもらいやすくなります。
オウンドメディアは、このようなメリットやプラスの特長を持っているので、BtoB企業が簡単に導入をスタートされる傾向があります。しかし、ここでお話したいのはデメリットもあるということです。
オウンドメディアのデメリットとして理解いただきたいのは、次の2つです。
- 初期コストが必要
オウンドメディアはホームページと似ていますが、使い勝手の部分で少し違います。そのために、制作費用が必要になります。どのようなサイト構成にするのかにもよりますが、相場としては、百万円以上は必要になるケースが多いです。
- 長期戦
オウンドメディアを作り、2~3の情報を公開すると、すぐにアクセスが伸びて問い合わせが殺到する。このようになれば良いのですが、実際にはなりません。
最初は1日10人くらいのホームページへの訪問からスタートすることになります。そして提供する情報を増やし、半年、1年と継続することで月間1万人くらいの訪問が完成します。さらに継続すると、月に5万人、6万人という訪問を生み出せるようになります。
業界の中で少し知名度がある企業ですと、1年で月に6万人くらい訪問されるメディアになることもありますが、一般的には1年で月に1万人くらいが目安です。
(2)メールマガジン
消費者相手では陰りがありますが、BtoBの場合なら、まだまだ使える方法。それがメールマガジンです。
BtoBの場合、受け取る人も仕事モードなので、楽しさはあまり必要ありません。効率よく必要な情報だけが送られてくる方がうれしいものです。
こういうケースでは、簡潔なメールマガジンを週に1回くらい配信するのがベストです。
BtoBですから
- お得情報!
- ○○50%OFF!
- 激安セール!
こういうのは必要ありません。気をつけてくださいね。メルマガというと、こういう内容に傾きやすいので。
BtoBでは、淡々と効率的に仕事に役立つ情報だけを配信しましょう。地味な方法ですが、ホームページ集客に役立ってくれます。
で、ここで疑問を持たれるのが「どこでメールアドレスを獲得するのか」ですね。
BtoB企業の場合ですと、主に相手の名刺です。ここに掲載されているメールアドレスは確実です。また、ホームページから何か資料をダウンロードするとき、メールアドレスを頂くようにしておけば自動的に獲得できます。
どちらも注意してほしいのは、相手の同意がないとメールを送っちゃいけないことです。名刺のメールアドレスは送る場合は、前もって「送らせていただいていいですか?」と確認しましょう。
ホームページから獲得する場合は、一文書いておきましょう。
やってはいけないのは、同意なしにメールマガジンを送ることです。
(3)ホワイトペーパー
BtoB企業の場合、何らかの技術資料(ホワイトペーパー)が存在しているはず。
当然、ご契約いただかないと提示できない情報もありますから、取り扱い注意ではありますが、契約前でも提示して良い情報は上手に使ってください。
提示しても問題のない技術情報を提供することで、ホームページからの集客に役立ちます。その先を知りたい人がいるなら、電話やメールで問い合わせしてきます。そうなれば後は営業の方が商談できます。
(4)カタログ
製品やサービスのカタログを提供しましょう。これもホームページ集客の方法として使えます。
すでに印刷しているカタログがあるのなら、PDFにするだけでOKです。簡単にできることなのでBtoB企業はやっておきたい方法です。
(5)製品情報
カタログには掲載されていない細かな情報を提供しましょう。
例えば、ネジなどはサイズ(寸法)にバリエーションがありますから、製品毎の「寸法表」を製品情報として提供できます。
こういった情報は、具体的に仕事に使いたいと考えている人が探しているため、商談へ進むきっかけになります。
(6)コンテンツ提供
オウンドメディアほど大がかりな仕掛けは難しい。こういう場合、SONIDOがおすすめするのが、ホームページ内に「お役立ち情報(コンテンツと呼びます)」を定期的に公開する方法です。
SONIDOのホームページを見て頂くとわかりますが、ホームページ集客に関係するコンテンツを公開しています。このように、御社の仕事分野に関するコンテンツを公開すれば、そこからホームページ集客の道が生まれます。
(7)インターネットを使った広告
あまり手間をかけたくない。その分、経費を使うのは問題ない。
こういう企業の場合、オウンドメディアやコンテンツ、メールマガジンなどではなく、インターネットを使った広告をスタートしましょう。
特に検索キーワードに関連した場合だけ広告が出る「リスティング広告」ですと、
- キーワード
- 地域
- 時間
こうした細かな条件を設定して広告出稿できますので、お金の負担も軽減できます。
特にBtoBの場合、ターゲットは月曜~金曜の9:00~18:00くらいしか検索で探していません(仕事をしていません)から、この範囲だけで広告が出るようにすれば良いわけです。
(8)展示会
ホームページ集客の導線として侮れないのが「展示会」です。
リアルな展示会もありますし、オンラインの展示会もあります。展示会の良いところは、相手に話しをしながら情報提供できること。そして、こちらの名刺をお渡しできますから、ホームページへ訪問してもらえる可能性が高くなります。
また、メールマガジンのところでお話しましたが、相手から頂いた名刺に記載されているメールアドレスは、これからコミュニケーションを続ける重要なポイントになります。
BtoB企業は、展示会を上手に使いましょう。ここからホームページへ誘導し、商談へ進んでいただくのが理想です。
(9)ポータルサイト
それぞれの業界向けにポータルサイトがあります。
ポータルサイトとは、同じようなカテゴリーの業種情報が、ひとつのサイトに集まっていて、そこで検索すると条件に合った企業情報が見られる便利な場所です。
例えば「ホットペッパービューティー」は、美容関係のポータルサイトです。このようなサイトは製造業向けにもあります。
こういうところに登録しておくことで、ホームページへ誘導することができます。探し方が分かっていないターゲット向けに使うことができます。
2: BtoB企業のホームページ集客が難しいと言われる理由
BtoB企業のホームページ集客が難しいと言われるのには理由があります。
(1)購買決定までの道のり
一般の消費者とは違い、購買決定までの道のりが長く複雑です。
例えば、窓口になっている担当者が「購入したい」と考えていても、上司が「OK」と言わなければ購入されません。
また、上司が「OK」と言っても、稟議が通らなければ購入されません。そもそも、窓口担当者の話しを上司へ報告できるタイミングあるのか、会議で審議してもらえるのかという水面下での理由もあります。
消費者が「ほしい」という気持ちで購買決定するのとは違い、企業相手になりますから承認までの流れが複雑になります。
場合によっては、話しが出てから半年以上経過して「稟議が通りました」なんてこともあります。
このような複雑さがあるため、ホームページ集客で成果を出しづらいのです。
(2)慎重さが違う
消費者のように「まぁ、一度、買ってみるか」という気持ちで購買決定されることがありません。
相手は企業です。そして決済するのは上司です。それなりの立場があります。失敗すれば責任も生じます。
ですから、慎重に検討します。失敗しないかどうか。仮に失敗しても自分の責任にはならず、誰か他の人の責任にできるのかを考えます。かっこよくはありませんが、これが事実です。
このように慎重さが消費者とは違うため、ホームページへ訪問していても、集客と呼べる段階まで進んでもらいにくいのです。
(3)担当者の気持ちが曖昧
BtoBの難しいところは、窓口担当者の気持ちが曖昧なケースが多いことです。
窓口担当者になっている人の中には「指示されたから探している」だけの人もいます。こういう人が相手になると、いくらホームページへ訪問してくれても話しが先へ進みません。
だって、この担当者にすれば「探す」ことが仕事で、その先のことなんて知ったことではないからです。
探しているだけ=見ているだけ
こういう人がアクセスしてくることが多いため、なかなか「集客」と呼べる段階までホームページの成果が到達しません。
(5)ゲートキーパーの突破
決済権限を持っている人へたどり着くまでに、複数のゲートキーパーを突破しなくてはいけません。
- 課長
- 部長
- 専務
- 秘書
最低でも、こういうゲートキーパーを突破しないと「集客」と呼べる状態になりにくいのです。
この問題も、BtoBがホームページで集客しづらい理由です。
(6)予算がないとどうしようもない
ホームページへの訪問者数も増え、問い合わせも増え、商談回数が増えても、相手企業の予算がないと「集客」と呼べる状態にはなりません。
これはホームページだからというよりも、企業を相手にする場合のリスクです。ただ、ホームページを使うと、こうしたリスクも勝手に回避できると思っている方がいらっしゃいます。でも、それは無理な話です。予算がない企業と前向きな商談をすることはできません。
また、こういう企業の場合、あわよくば「使えそうな情報だけ無料で手に入れてやろう」などと考えているケースもありますから、何度コミュニケーションをとってもホームページからの成果達成になりません。
3: どうすればBtoB企業のホームページ集客は成功するのか
BtoB企業がホームページ集客を成功させるためのポイントをお話します。
(1)経営者の理解
まず、ホームページを使って集客することは簡単ではない。ということを経営者が理解してください。
また、「集客」を定義してください。
- ホームページの訪問を集客とするのか
- ホームページで問い合わせがあれば集客とするのか
- ホームページから問い合わせがあり商談まで進めば集客とするのか
この定義が曖昧ですと、正しく評価できません。また、定義によって成功率の判断基準が変わってきます。
曖昧な定義と基準で評価すると、結局は「上手くいっていない」となります。
(2)社内キーマンの選出
社内でキーマンとなる人材を選びましょう。
- 暇そうだから
- 手の空いている人が
- 気が付いたら
こういうの、全部NGです。何ヶ月経過しても、誰も何もやっていません。そのため何も変わりません。
(3)チームを編成
人選の次に大切なのがチーム編成です。
ホームページ集客を成功させるためには、チームで動く必要があります。
誰か一人だけに任せるのは危険です。もし、その人が退職すればどうなりますか?その人が忙しくてホームページに携われないときはどうしますか?転勤や異動があればどうなりますか?
これまでとは別の上司が年度変わりにやってきたら、兼任しているホームページの作業を「無駄な仕事」と判断される可能性だってありますね。
最適でも5名くらいのチーム編成を考えましょう。もちろんリーダーは経営者です。経営者が「集客」というビジネスにおいて最重要事項から責任逃れしていてはいけません。
(4)外部アドバイザーの導入
自社の人材だけでは難しい。でも、今からやっておかないと・・・。
こういう前向きな企業様は、外部アドバイザーを活用しましょう。
- 信頼できるホームページ制作会社(マーケティングまでわかっているところ)
- フリーランス
- 個人事業主
自分たちが出来ないことを外部の力でまかなう。この考え方、デジタル時代には重要です。
(5)定点観測
ホームページを公開したら、定点観測してください。
観測するのは
- アクセス数
- ページ閲覧数(PV数)
- 直帰率
まずは、これらを2週間に一回くらいの頻度でチェックし記録。3ヶ月くらい継続すると、ホームページが成長しているのか、全く変化がないのかが見えてきます。
他には、どんなキーワードでアクセスされているのかを確認しましょう。GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールを使えば無料で誰でもチェックできます。
4: もっとも難しいのは部署間協力
BtoB企業のホームページ集客を難しくしている理由の根源的なことは「部署間協力」です。
例えば、「ホームページ集客を会社で実施する」と経営者が言うと「みんな」賛成します。表立って経営者に向かって「わたしは反対です!」という人はいません。だから上手くいくと思ってスタートすると、、、
- 営業は関わりたくない
- 技術は関わりたくない
- 総務は関わりたくない
それぞれに関わりたくない理由が出てきます。
「地元商店街の活性化」会議でも良くある「総論賛成・個別反対」状態と同じです。
ホームページで集客することは「全体」としては「賛成」。でも、自分たちが何かするのは(個別では)「反対」。
こういう状態のままスタートすると、部署間協力は低下し、ホームページ集客の要となる「更新作業」が頓挫。そうするとアクセスも減りますから集客はできません。
率先して関わりたくないかもしれませんが、最低限の協力関係は「業務」として維持できるようにしておきましょう。
5: まとめ
BtoB企業のホームページ集客は不可能ではありません。ただ、プロセスが複雑なのと、複数の価値観を持った人が集まっているため、同じ方向へ向かって進みにくいため成功と呼べる状態へ到達するのが難しいのです。
しかし、今回の内容を参考にしていただくと、予め問題になるポイントがわかりますから、失敗する確率を減らせると思います。
大切なので最後にもう一度言います。
最低限の部署間協力は維持しましょう。ホームページに関することは「業務」としましょう。チーム編成しましょう。そして、経営者が関わりましょう。報告を聞くだけではいけません。自らも作業者となって頭と手を使ってください。