工務店集客に必要なマーケティング戦略
これまでと同じ方法だけの工務店集客には課題があります。
- モデルハウスも持っていても来場者が少ない
- 資料請求されても来店されない
- 契約までの期間が長い
- 何度も足を運ぶ必要がある
- 飛び込み営業はほぼ出来ない
- テレアポもほぼ出来ない
- チラシを入れても反応が薄い
まだまだあると思います。そして、従来の方法が通用しなくなってきたため、頭を抱えて悩んでおられる工務店様もいらっしゃると感じています。
しかし、このような悩みを解決し、従来よりも効率良く仕事が増えている工務店様もいらっしゃいます。
今回は、これからの工務店集客に必要なマーケティングについて解説していきます。このコンテンツは新しい集客方法に興味をお持ちの方へおすすめです。
1: 工務店集客に必要なマーケティングとは
これからの工務店集客には「マーケティング」が必要です。では、マーケティングとは何かというと、「必要な方へ認知してもらい、行動を起こしてもらう仕組み」と考えてみてください。
住宅が欲しいと考えている方へ、あなたを知ってもらい、問い合わせや相談へ行動を起こしてもらう仕組み作りと考えるとわかりやすいです。
そして、このような仕組みを考える上で大切なのが、次の3つのポイントです。
(1)強いセールスからの変化
従来の工務店集客は「住宅」という物に価値を感じてもらい、強いセールスをするのが当たり前でした。
大手ハウスメーカーなら、モデルハウスを準備し、週末に来場した方へ何度も何度も強いセールスを行う。これを繰り返すことで契約まで進めたわけです。しかし、最近の消費者は住宅へ求めている内容が変化しています。
最も大きな違いだと言えるのは、従来は住宅の機能やデザインなど「ハード面」で購入判断をしていましたが、最近はハード面ではなく「ソフト面」を重視する傾向にあります。
では、この場合のソフト面とはどのようなことなのかというと「暮らし方」です。
- 安心して暮らせる空間
- 快適に暮らせる空間
- 長く住める空間
ハード面である「物」は、ソフト面を実現するためのものであり、消費者が住宅へ求めている理想像はソフト面であるということです。
そのため、ソフト面を前面に押し出した事例を提供し、「自分たちが暮らしたとき、どんな生活になるんだろう」というイメージを描いてもらう必要があります。ソフト面で引きつけ、ソフト面を充実するためにハード面の話をする。こういう変化が起こっています。
(2)明確な費用
工務店集客だけに限りません。費用に関する明確な提示は、様々な業種で必要になっています。
特にマーケティングを考えるときには、費用の明確な表示は外せません。例えば、「月々○○円のお支払いで、こんな暮らしが手に入ります」というメッセージは、賃貸住宅にお住まいの方には大変明確な費用比較をする手段になります。
- 延べ面積○○で2000万円
- 坪単価○○万円
- 4LDK、カーポート2台分含む○○万円
こういう説明では暮らしの変化をイメージできません。現在の消費者が欲しがっているのは、住宅を購入した後の「暮らし方」です。
2000万円の住宅を購入することで、どんな豊かな暮らしが手に入るのか。ここがイメージできないと具体的な検討へ入ることがありません。
そのためには、わかりやすく費用を明確に提示することが必要です。
(3)専門家
スマートフォンが登場してから、いつでも、どこでも、簡単に自分の知りたい情報を検索することができます。
この大きな変化によって、消費者は10年前、20年前とは比べものにならないくらい、多くの情報を一瞬で獲得することができるようになりました。
そのため工務店集客においては「工務店」というだけでは選んでもらいにくくなっています。では、選ばれるために必要なことは何かというと「○○専門の工務店」という専門家ポジションなのです。
簡単に多くの情報を入手できるということは、簡単に手間無く他の工務店と比較できるということです。そして比較されるということは、何かの違いを見せないと選ばれることは難しくなります。
そこでマーケティングでは、差別化するために「専門家」というポジションの確立を目指します。
例えば、こんな違いがあれば、どのような印象を受けるでしょうか?
「20坪住宅専門の○○工務店」 vs 「戸建て住宅の○○工務店」
工務店を探している消費者が、20坪くらいの土地へ住宅を建てようと考えているのなら、前者を選ぶことでしょう。
また、こういった専門家ポジションは信頼性や権威性にもつながりますので、マーケティングでは重要な部分となります。
2: マーケティングに必要なこと
それではマーケティングに必要なことを見ていきましょう。マーケティングとは「戦略」でもありますから、必要なパーツを集めておかないと正しい戦略は立てられません。
(1)情報
マーケティングに必要なパーツとして最初に出てくるのが「情報」です。
- いつ、どこで、どのような人たちへチラシを出したのか
- いつ、どこで、どのような人たちがモデルハウスへ来場したのか
- 来場した人数の中で、何人が個別相談したのか
- 個別相談した中で、何人が契約まで進んだのか
- 話だけで終わったのはどれくらいか
過去に行った施策の結果や影響度合いの情報を集めましょう。
(2)蓄積
もし、あなたの会社に情報が何も残っていないのなら、これからでも遅くはありません。何か行動を起こしたときには、必ず情報を蓄積するように習慣づけましょう。
最近では営業担当者の行動を会社全体で見える化するツールもありますので、まずは情報を漏れなく集めてデジタル化することからはじめましょう。
(3)ターゲット
情報が集まってくると、あなたの工務店にとって相性の良い顧客層が見えてきます。工務店の仕事はビジネスですから、相性の良くない顧客層をいつまでも追い続けるよりも、相性の良い顧客を見つけて商談する方が良い仕事ができると思います。
そのためには、情報から顧客層(ターゲット)を見つけることが必要になります。
- 性別
- 年齢
- 年収
- 職業
- ライフスタイル
- 価値観
- 好みのデザイン
- こだわりのポイント
こういった情報からターゲット像を描きましょう。
(4)メッセージ
ターゲットが明確になると、メッセージを作ることができます。メッセージとは広告文の場合もあれば、ホームページのキャッチコピーになることもあります。
あなたがターゲットにした人の心に響き、振り返ってくれるメッセージを作るということです。
例えば次のようなケースを考えてみましょう。女性ターゲットでヨガレッスンを販売する場合です。
- 20代:リア充アピールできる方法
- 30代:おしゃれな趣味でモテ要素アップ
- 40代:婚活でスッキリボディをアピール
- 50代:若々しいスタイルをキープ
- 60代:いつまでも健康で楽しく暮らす
同じサービスであっても、ターゲットが変わるとメッセージに込める内容が変化します。これは工務店集客にも同じことが言えます。
- 30代夫婦向け
- 40代夫婦向け
- 50代夫婦向け
- 60代夫婦向け
すべてメッセージに込める内容は変わるはずです。例えば、
- 30代夫婦向け:お子さんの成長を安心して見守れる
- 40代夫婦向け:暮らしに快適さと豊かさを
- 50代夫婦向け:セカンドステージを充実して暮らす
- 60代夫婦向け:安心安全快適で健康な暮らし
いかがでしょうか。ターゲットが明確になっているからこそ、心を揺さぶる(興味をもってもらえる)メッセージが完成します。
(5)メディア
ターゲットとメッセージが完成すれば、ターゲットへメッセージを届ける(伝える)手段を見つける必要があります。
例えば、年齢によって普段触れているメディア(媒体)は違っています。
- 20代:スマホ SNS
- 30代:スマホ SNS
- 40代:スマホ、PC、新聞
- 50代:PC、スマホ、新聞
- 60代:PC、新聞
もし、先ほどのヨガレッスンを60代に伝えたいのなら、PCで見られるところへ広告を出すか、新聞へチラシを入れるのが適切なメディアの使い方になるはずです。
同じように工務店集客においても、あなたが設定したターゲットによってメディアを変化させる必要が出てくるということです。
大変残念なのが、ターゲットが使っていない媒体へメッセージを掲載することです。いくらメッセージが秀逸でも、心に響くターゲットが見ていないので、誰も反応してくれないという結果になります。
3: 集客活動の理想の流れ
工務店様の集客活動について、理想的な流れを解説します。
(1)広告
集客において最初に行うことは有料広告です。これが最も素早く結果がわかる方法です。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- リマーケティング広告
難しそうな広告ですが、予算に合わせて選ぶことで素早く結果が出てきます。
(2)SEO対策
広告と合わせて行ってほしいのがSEO対策です。GoogleやYahoo!で検索したとき、検索上位に御社のホームページやコンテンツが表示されるように最適化する方法です。
この方法は、自社で対策する場合「無料」でできます。費用負担はありません。外部へ委託する場合やサポートを活用する場合には請負費用が発生します。
一般的には自社でされる方が多いため、無料だと考えて問題ありません。
SEO対策は広告のように費用負担が無い代わりに、結果がわかるまで時間が必要になります。最近の傾向としては、安定して継続的にコンテンツ(ブログ)を投稿したとしても、早くて4ヶ月、多くの場合は半年くらい続けないと結果を判断できません。
ただしSEO対策は上手くいくと費用負担無しで、長く集客できる強い武器になります。
(3)SNS
SNSの活用は集客の流れを変えることがあります。
SNSは広告やSEO対策よりも拡散力が高いため、一気に数万人に知ってもらえる可能性を秘めています。反面、ちょっと間違った投稿をすると、数万人規模で炎上することもあります。
SNSを集客で使うときに難しいのが、集客タイミングが全くわからないことです。いつの投稿がバズるのか誰にもわかりません。今日かもしれないし、3年後かもしれません。
フォロワーを多く持っているインフルエンサーを活用すれば、一気に認知度アップもできますが、インフルエンサーへの報酬がありますので、結果的に広告とあまり変わらない可能性が強いです。
(4)紹介
工務店集客で目指したいのが紹介です。紹介はかなり強い集客です。相談されれば80%以上の確率で成約するはずです。
新規のお客様とお付き合いする場合は、かならず紹介してもらえるくらい良い仕事をしましょう。細部にこだわった仕事や気配りをすることで、新に紹介してもらえることが増えていきます。
ちなみに、SONIDOのお客様の中でも、建築関係のお仕事をされている会社様の中には紹介で仕事が回らないというところもあります。
(5)リピート
工務店集客でおいしいのがリピートです。
ちょっとした工事の追加や、数年経過してからのリフォーム相談。どれも良い関係性を維持しているからこそいただけるお話です。
「あたりまえのことを、きちんとする」
気をつけておきたいことです。
4: デジタルマーケティングに重要なポイント
急速に伸びていくことが予想されるデジタルマーケティングを検討されているのなら、次からお話するポイントを押さえておいてください。
(1)強み
工務店としての強みを明確にしましょう。どういったデザインの住宅建築が得意なのか。どういった施工が得意なのか。一人では強みが出てこない場合は、第三者の意見を聞いてみてください。
(2)信頼
デジタルマーケティングと言えでも信頼は必要です。経験や実績、資格、事例などを整理して活用しましょう。
(3)雰囲気
デジタルマーケティングで大切なのは雰囲気です。「らしさ」と言ってもいいですね。
- ここは良さそう
- 信頼できそう
- 話をわかってもらえそう
「らしさ」は競合との差別化にもなります。無理せず「らしさ」を出しましょう。
(4)ゴール
デジタルマーケティングを実施する場合、最初にゴールを設定しておくことも大切です。ゴール設定が明確でないと、どうなれば成功なのかわからないため、改善するべきなのかどうか判断できません。
デジタルマーケティングは簡単に改善できるのもメリットです。ゴール設定して、短いサイクルで改善していきましょう。
(5)解析
改善するためには解析が必要です。ホームページならGoogleが提供しているツール
- アナリティクス
- サーチコンソール
こういったツールを使って過去から現在までの状況を把握しましょう。
(6)継続
デジタルマーケティングでは、常に新しい情報発信が必要です。
- 年末年始の営業変更
- 夏休みのお知らせ
- コロナによる非常事態宣言のお知らせ
こういうのが最新情報のままになっているようでは、継続性が保たれていないことになります。
専門性、信頼性、らしさ。こういった部分を高めるためにも、コンテンツを継続して作り発信することが必要です。
5: まとめ
工務店集客にはマーケティングを考えることから始めてもらいと思います。何も戦略が無いまま、これまでと同じ事を繰り返しても、消費者の多様化によって選ばれにくくなると思います。
コロナによって世の中は一気にデジタル化へシフトしています。工務店集客にも今回の内容を参考にし、新しい集客を試して頂ければ幸いです。