価格設定がマーケティングの成功に重要な理由とは
どのような事業であっても、成功させるためには最適な価格設定をしなければ立ちゆかなくなります。
あまりにも高すぎるとお客さんが離れていくかも。あまりに安すぎると赤字ばかりが膨らんでいくはず。
このような状態では安定した経営を進めることはできません。そこでマーケティングの導入を検討される方が多いのですが、マーケティングの成功には価格設定がとても強く影響してくるものなのです。
おわかりでしょうか?価格設定で困ったのでマーケティングの導入を検討すると、価格設定へ話しが戻ってきてしまうのです。困った話しですね。
そこで今回は、逃げ道なく正面から考えないとどのような事業でも、どのような優れたマーケティングを導入しても成功できない「価格設定」についてお話していきます。
1: 価格設定がマーケティングに重要な理由
マーケティングを考えるとき、基本的な4つの視点があります。4つのPとも呼ばれている考え方です。
(1)製品
(2)流通
(3)広告
(4)価格
これらを別々に考えることはできません。それぞれに影響を与えていますし、そもそもマーケティングとは「掛け算」ですから、4つのPの中でひとつでも「0」や「1」が発生すると、他の部分でいくらがんばっても想定している成果が出てきません。
良い製品
×
市場のある流通で流す
×
適切なターゲットへ広告
×
ターゲットがほしいと感じる価格設定
こうでなければ、どんなに良い商品やサービスでも売れません。または、仮に売れたとしても利益が出ません。
価格設定を「安ければいいだろう」「高い方が得できるから」というような安易な気持ちで設定してはいけないということですね。
2: 価格設定にこだわるのはなぜ?
上手くいっている事業は、間違いなく価格設定にこだわっています。どうしてこだわりを持っているのでしょうか。
他店よりも安ければ売れるはずなのに、なぜ頭を抱えて悩んで調べてこだわっているのでしょう。
当然ですが、上手くいっているところが時間を使って頭をフル回転させているのには理由があります。
(1)売上額の向上
適切な価格設定をすることで、売上額が向上します。例えば、1つ7500円で販売しても売れる商品なのに1つ5000円で販売していたとすると、10万円の売上へ到達するためには7500円で売るよりも多くの個数を販売しなければいけなくなります。
ここで考えたいのは、簡単に買ってくれる顧客を今よりも多く集められるのかです。もし集めることに苦労しているのなら、5000円で販売すると2500円を取り戻すために広告費がかさんでしまうことも考えられます。
売上額を向上させるためには、適切な価格設定をしておかないと必要の無い苦労を背負い込んでしまうのです。
(2)利益の最大化
価格設定によってもっとも影響するのが利益です。
事業を営んでいるならおわかりのとおり、売上額がいくら向上してもあまり大きな意味はありません。事業では売上額も大切ですが利益の最大化こそが重要なのです。
もし原価が3000円の商品を5000円で販売したとすると2000円の利益です。しかし同じ原価のものを最適な価格設定によって7500円で販売したとすると4500円の利益が生まれます。
いかがでしょう。同じ個数を販売しても利益が簡単に2倍強になるのです。これが価格設定にこだわるべき理由です。
(3)収益の安定
利益を最大化できると、年間を通じて収益が安定してきます。事業を進める中でとても良い状態です。
無理な借入も必要なくなりますし、無駄な返済も発生しません。
(4)市場の維持と拡大
適切な価格設定を行うことで、事業が安定して維持できます。ということは、あなたのビジネスは市場の中で良いポジションを維持できるということですし、適切な価格設定を展開することで今よりも市場を拡大させることもできます。
市場が歓迎する価格設定こそ、長く事業を維持できる方法なのです。
思い出してみてください。コロナの感染が拡大したとき、高額でマスクを販売していたショップが、今でも健全な状態で営業できているでしょうか?
流行に乗っただけで高額な価格設定でタピオカを販売していたお店は、今でも行列ができる人気店でしょうか?
反対に、市場価格の半額でいつも販売していた激安店は、海外からの観光客が居なくなったとき経営できていたでしょうか?数で勝負できなくなったため、かなり苦しい状況に追い込まれているはずです。
(5)競合との差別化
価格設定は競合との差別化に使えます。
これは、安くても高くても差別化のポイントになります。
安い理由、高い理由をきちんと説明できれば問題ありません。
もっとも愚かな価格による差別化は、理由もなく競合よりも安い(または高い)ことです。
今の消費者はバカではありません。また、詐欺サイトも増えています。そのため「どうしてなのか」という理由を求めています。価格で差別化する場合には理由を伝えましょう。
3: 価格設定の方法
価格設定の方法には8つのパターンがあります。
(1)原価+利益
もっとも単純なのが、原価に利益を足し算した結果を売値にすることです。
この場合の原価とは、
- 仕入価格
- 直接経費
- 間接経費
これらを含んだ費用になります。
(2)競合基準
競合の価格を基準にして価格設定する方法です。
競合よりも安くしてもいいですし、高くしてもいいです。ポイントは先ほどもお伝えしましたように「なぜその価格なのか」という理由付けです。
安すぎる価格は詐欺っぽいです。高すぎる価格は売れません。
(3)市場リーダー
市場でのプライスリーダーになることを目指す方法もあります。
- ドンキ
- シマムラ
こういうところが得意ですね。いっぽう、中小企業や個人事業主では苦しい方法です。
(4)慣習維持
ビジネスによっては昔からの慣わしによって価格が決まっていることもあります。
激安で市場を破壊しないために維持することも大切です。仮に激安で沢山売れても、後に良い市場が残っていないのなら意味はありません。
(5)プレミアム価格
高付加価値によるプレミアム感を持った価格です。
- コーチのバッグ
- ヴィトンのバッグ
プレミアムですね。高くても問題ないですね。
ブランド力や、マネの出来ない品質で差をつけることで成功する価格設定です。
(6)端数強調
「980円」という価格設定です。
1000円よりも安く感じます。量販店で有効な価格設定です。
(7)松竹梅
今も昔も賢い価格設定が松竹梅です。
松が最高で高く、竹が中くらい、梅がもっとも安い、という選択させるプランです。
この方法は消費者の収入や価値観に合わせて選び購入してもらえますので、すべてのビジネスにおすすめです。
(8)セット価格
「スーツにパンツ1本を半額で」
こういう価格設定です。集客数が少ない(集客しにくい)ビジネスの場合、一度の購買で少しでも多くの点数を購入いただくのに向いています。
マックハウスやライドオン。セミオーダースーツ販売店などが得意とする価格設定です。
4: これまでの価格設定は成功戦略にならないかも
こんなフレーズを見かけたことはありませんか?
「よいものをより安く」
薄利多売のビジネスでは間違いなく成功法則です。
また、高度経済成長の頃のように、作れば作っただけ売れた時代なら製造業でも成功法則でした。
ところが現在はどうでしょう。そんな時代ではありません。そして消費者は昔のように「中流社会」だとも思っていませんし、消費者間での格差は確実に広がっています。
また、消費者の収入に関係なく多様な価値観によって消費をする傾向が強まっているため「よいものをより安く」が成功法則になってくれない時代に入っています。
そこで、これからの時代にあった価格設定を考えると、どんなビジネスでも上手く消費者を取り込めるのが「松竹梅」です。
SNSの力によって他人の影響を受けやすくなった現在、消費者にとって丁度良い欲望を満たすことが大切です。
例えば、どんなものでも「見せびらかして自慢したい」消費者なら常に「松」を選ぶでしょう。ミニマリストであれば自分の気に入ったものだけ「松」で、それ以外は「梅」を選ぶでしょう。
他人からの影響や見られ方を気にする人なら「竹」を選んで無難に対処するはずです。
このように現在の価格設定では、ひとつの商品やサービスに1つのプライス設定ではなく、松竹梅のプライス設定が向いています。
あなたのビジネスで提供している商品やサービスを松竹梅で設定し販売できないか考えてみてください。
今の時代、価格は消費者の意思で決まります。作り手が決めるのではないのです。
松竹梅は消費者の支払意思に従っていることになります。
5: まとめ
価格設定はマーケティングを導入し展開するとき、強い影響を与えます。
価格設定が適切でないと、どんなに優れたマーケティングを導入しても利益が向上していきません。ということは、ビジネスが安定しませんし継続すら難しくなります。
適当に価格設定することはやめましょう。また、競合の価格ばかり気にするのもやめましょう。
それよりも、松竹梅で展開できないか考えてみてください。これが今の消費者に喜ばれる(選ばれる)価格設定の方法です。