顧客価値でマーケティング成果を高める5つのステップ
「顧客価値」という言葉、マーケティングを学んでいると必ずと言ってもよいくらい登場します。
そのため「わかった」つもりになっている経営者の方もいらっしゃいます。そこでSONIDOがあなたにこんな質問をしてみます。
「あなた(あなたの会社)が提供できる顧客価値を教えてください」
明確に答えられる人は多くないはず。仮に、上手に語れたとしても、どこか別の会社の顧客価値を聞きかじって覚えているので、そのまま言っている。こういうケース、意外に多いものです。
本当の意味で、あなたが提供できる顧客価値は何でしょうか?
今回は、言葉は知っているけれど、結構曖昧になっている顧客価値と、顧客価値によってマーケティングを向上させるポイントをお話していきます。
1: 顧客価値とマーケティングの関係
はじめに、顧客価値って何なのかから見ていきましょう。
(1)顧客価値とは何でしょうか?
顧客価値とは、あなたが顧客に対して感じている「儲かりそう」という価値ではありません!
正しくは、次のような価値を意味しています。
顧客(お客様)が、あなたの提供する商品やサービスに対して、「これだけのお金を払ってもいい!」と認めてくれた価値のことです。
そのため、こんなケースが発生することも多々あります。
「めちゃくちゃ手を入れた商品を販売している。手間だけで5000円以上かかっている。でも、1000円以上になると売れない。」
これは顧客価値が低い状態です。
「100円で仕入れして5000円で販売している。手間は発送だけ。でも、毎日10個ずつ売れている。」
これは顧客価値が高い状態です。
いくらあなたが手間をかけて、良質な商品やサービスを提供していても、顧客が価値を感じていないと、あなたが思っている価格では販売できないのです。これは困ったことです。
(2)顧客価値がマーケティングに影響するって本当?
先ほどの話しからもわかりますが、手間をかけて良質な商品やサービスを作り提供し、これらが見合った価格で販売できるなら、それは全く問題ありません。
しかし、顧客価値を作り出せないと、いくら良い商品やサービスでも、適正価格であっても売れません。
ということは、いくら巧妙で素晴らしい仕掛けを含んだマーケティングを実施しても、成果に至らない可能性が急上昇するのです。
ここからわかることは、マーケティングで成果を出したいなら、顧客価値を向上させないと意味が無いということ。
顧客価値とマーケティングは独立したものではなく、両輪であることを理解しておかないといけません。
2: 理解しておきたい顧客価値の4階層
顧客価値を理解するためには、次の4階層を必ず知っておきましょう。
そして、あなたが提供している商品やサービスは、今、どの階層の価値を提供できているのか分析しておくことも大切です。
(1)基本の価値
ビジネスをする上で「当然」提供されるべき価値です。
例えば、問い合わせがあったら、必ず返信をする。購入の希望があれば、約束の期日までに納品する。最初に交わした契約内容で提供する。
いかがでしょうか?当たり前のことばかりですね。でも、最近のネットショップやホームページって、基本の価値が提供されていないところが増えています。
「ありがとうございました!」も言わないラーメン屋などは、いくら美味しくても、顧客価値という視点で見ると基本の価値すら満足に提供出来ていないことになります。
(2)期待の価値
お客様が「ここまでは、あるよね?」と、当然のように期待している価値です。
一般的には、「期待の価値」までを提供できないと
- クレーム
- 買わない
- 二度と買わない
- 悪い口コミを書く
- SNSで悪評が拡散される
こういう結果が近い将来に待っています。
例えば、ネット通販で購入した場合、発送準備が完了したとか、発送しましたとか、こういうメールが届くと「期待」していますが、届かないネットショップが多いです。
これは「期待の価値」を下げていることになります。
ということは、近い将来に「期待の価値」を提供してくれる競合が現れると、このお店では買わなくなるということです。
わかりやすくネットショップを例にしましたが、ホームページで集客しているところも同じです。
(3)願望の価値
「こうだったら良いな」という願望を誰もが持っています。でも、「たぶん無理だろうな」という感情も同時に持っています。
こういう感情を満たせると「願望の価値」を向上させられたことになります。
仮に、願望を満たせなくてもお客様は「不満」には感じませんが、満たせると「わかってるな~」という高い評価をしてもらえます。
(4)想定外の価値
お客様の想定を超えた価値を提供したときの階層です。
なかなか難しい階層ですが、実現すると
- 感動
- 良い口コミ
- SNSで良い話しが拡散
という流れが出来上がります。そして、拡散よりもうれしいのは、この階層のお客様はリピートしてくださるということ。それもVIP顧客候補であることです。
3: 顧客価値で大切なポイントとは
顧客価値を提供するとき、大切なポイントがあります。
(1)3つの構成
- 商品やサービス
- 機能性(ソフトやハード)
- 提供シーン(製造、販売、利用)
何を、どのような形で、どのようなシーンで提供するのか。それぞれをまずは分解して考えてみましょう。
(2)足し算じゃなくて掛け算
先ほどの3つの構成ですが、顧客価値では掛け算になります。
それぞれを足し算しても、意味がありません。どこか一つでも「良くない」と、全体の顧客価値が下がります。
反対に、それぞれが1.25倍ずつアップすると、顧客価値は2倍にアップします。
どこかだけに集中してアップさせても良いですが、それは難しいので、まんべんなく少しずつアップさせるのが中小企業や個人事業主様にはおすすめです。
(3)提供するのはどんなところ?
意外に忘れられるのが、顧客価値を提供する場所です。
同じ顧客価値を提供しても、場所が違うと全く効果が出てきません。
お客様がもっとも「うれしい」場所を見つけましょう。
(4)関係を維持し向上
顧客価値が高まると、顧客との関係性が維持しやすくなります。当たり前ですね。
人は誰でも「自分を大切にしてくれる人」「自分を楽しませてくれる人」とは、関係を続けたいと考えますから。
例えば、リピートされないネットショップは、顧客価値が低いと言えます。特に、高額商品を扱っている場合や、消費材を扱っている場合にリピートされないのなら、顧客価値がかなり下がっていると考えた方が良いでしょう。
コンテンツを提供して集客を目指しているホームページも同じです。リピートされないのなら、顧客価値が下がっているということですね。
(5)まずは期待、その先に感動を
顧客価値を高めようとすると、いきなり「4階層目」を目指す人がいます。「感動させよう!」という考えです。
考えは悪くありません。でも、いきなり感動を起こすのは正直な話し無理です。そもそも「基本の価値」や「期待の価値」が高いのかどうかです。
顧客価値とは、「Aをやったら、結果がBになった」というものではありません。地道な積み重ねによって向上するものです。
一歩ずつ、基本→期待→願望→想定外という風に進めていきましょう。
4: 顧客価値を高める5つのステップ
顧客価値を今よりも高めるためには、次の5つのステップが役立ちます。
(1)ターゲットを明確にする
何をおいても、あなたが興味を引きつつ、継続してお付き合いしたいターゲットを明確にしておきましょう。
ここが決まっていないと、どのようなことが喜ばれるのか、見つけることができません。
(2)カスタマージャーニーマップを作る
ターゲットが明確になりましたら、どのような経緯で購入まで進むのか、行動と感情の移り変わりをビジュアル化します。
カスタマージャーニーマップがあると、喜ばれるポイントを発見しやすくなります。
(3)ブランドイメージを整える
どういったブランドイメージが受け入れられるのかを見つけましょう。
ここでもターゲットが決まっていないと、見つけることができません。
例えば、ユニクロのようなイメージが好きなターゲットが多いのか、ドンキホーテのようなイメージが好みのターゲットが多いのか。
ターゲットによって好むイメージが違ってきます。
(4)接点を見つける
カスタマージャーニーマップを作っているので、お客様との接点がわかります。
おそらく、購入までに3回くらいは接点があるはずです。
- 調べている段階での接点→広告とかSNS
- 比較している段階での接点→ホームページ
- 購入する段階での接点→ホームページやネットショップ
接点がわかると、何を提供すれば顧客価値をあげられそうか予測できます。
(5)当たり前のことをする
最後は「社会人として当たり前」のことをしましょう。
- 質問があれば返信する
- 丁寧な対応をする
- 約束は守る
一言でいうと「不安にさせない」ようにしましょう。ということです。
コロナ禍になってから慌ててホームページやネットショップを作ったところに限って、不安にさせておられるケースが多いです。
- 問い合わせしても返信なし
- 発送したのかどうか連絡なし
- 資料請求しても送ってこない
- 資料ダウンロードしたらエラーになる
不安しかありません。顧客価値以前に、やる気があるのかと疑ってしまいます。
こんな結果にならないように、まずは「当たり前」のことをしてください。これだけでも競合から一歩抜け出せます。どれだけ、まわりは「やってないのか」ということです。
5: まとめ
顧客価値によってマーケティングの成果は変わります。
大手企業なら資金力や人材力を最大限投入して、顧客価値を無視しマーケティングだけで押し切れるかもしれません。
しかし中小企業や個人事業主の場合、そんなパワーはありませんから、自分たちにとって「うれしい」お客様を獲得し、長くお付き合いいただく必要があります。
そのためには、顧客価値の向上とマーケティングの両輪で、ビジネスを回していくという意識が大切になっていきます。