スターバックスのマーケティングから学ぶ戦略とは
スターバックスを知らない経営者はいないと思います。行ったことはなくても名前くらいは知っていると思います。
スターバックスというと、経営者の方ならご存じのように「広告を出さない」ので有名。テレビCMもラジオCMもありません。年末年始だけ広告を出すようなこともなく、プロ野球のオールスター戦だけ広告を出すようなこともしません。
スターバックスってカフェですから、一般的には競争の激しい業界です。でも、広告を出さずに入店待ちまで作ってしまうから凄いのです。
では、スターバックスは広告を出さずにどういうマーケティングを行っているのでしょうか。そこのところを今回はまとめてみました。
1: スターバックスマーケティングの特長
スターバックスのマーケティングの特長は、次の4つが目立ちます。順番に見ていくとわかりますが、ハーレーダビッドソンも同じ特長を持っています。
(1)ブランドが作られる場所
一般的な企業のブランドが作られるのは広告からです。暗闇フィットネスで有名な「Bモンスター」は、渋谷ジャックをすることでブランドを作りました。
しかしスターバックスはというと、一般的な企業がブランドを作るために行う広告プロモーションは行っていません。では、どこでブランドが作られるのかというと「店内」なんです。
スターバックへ来店した人が、また来たくなる、そんな体験をしてもらうことがスターバックスのブランド作りのスタート地点です。
広告によって築いたブランドは、競合が出てくるとイメージが変化することもあります。しかし、スターバックスのように体験から生まれたブランドなら、競合が出てきたとしても全く同じ競合で体験をすることはできないため、ある日突然競合へ市場を奪われてしまうこともありません。
(2)「らしさ」こそ差別化ポイント
スターバックスのマーケティングで他とは違うのが「らしさ」です。例えばスターバックらしさというと最初に思い浮かぶのは「安売りしない」「セット商品がない」「クーポンがない」。
あえて比較するならマクドナルドと対照的な「らしさ」です。そして、この「らしさ」がスターバックスを競合とは違うところとするポイントでもあります。
僕たちも競合の動きを見て「来月から値下げしよう」とか「セット販売しよう」と考える前に、自分たちが提供している商品やサービスの「らしさ」を落としていないかチェックしておきたいですね。
(3)限定商品で口コミ増大
スターバックスのマーケティングを追っていると、季節限定商品を使うのが上手だなと思います。
そして限定商品を登場させるときには、おしゃれな画像を使ってSNSで口コミを拡大させます。「○○フラペチーノ」なんて完売するお店もあるくらいですから上手ですね。
(4)体験こそが成長のカギ
スターバックスはお店の外観も内装もおしゃれです。これらは「普段とは違う場所」でゆったりと豊かな時間を過ごしてもらおうというメッセージだと思います。
そして、こういった心遣いがあるからこそ、おしゃれなお店で楽しく過ごしたという体験が生まれ、快適な場所へまた行きたくなるのでしょう。
いかがでしょう。そして最初にお話したとおりオートバイのメーカーである「ハーレーダビッドソン」も同じ雰囲気を持っています。
ハーレーを扱っているお店はスターバックスと同じように、体験でブランドを作っています。レザージャケットやハーレー独自のヘルメット、グローブ、ブーツを取り揃えることで、他とは違う空間を作り出しています。
また、ハーレーも安売りはしません。常に無骨な「らしさ」を追求しています。これは電動バイクになっても変わることがないでしょう。
さらに、限定モデルを投入することで口コミが広がるところも同じです。あなたの周りにも体験からブランドを作り出しているお店があるかもしれません。チェックしておきたいですね。
2: スターバックスが大事にしていること
スターバックスがマーケティングを行うとき、大事にしていることがあるようです。
(1)信頼
何をおいてもお客様からの信頼を大事にしているということです。確かにネット上にもスターバックスでの感激するような対応を目にすることがあります。
いかにして誠実にビジネスをするのかが、スターバックスの信頼の根幹なのだと思います。
(2)細部に宿った「特別」
コーヒーの味は元より、椅子やテーブル、流れる音楽など五感を刺激する全てを洗練し、心地よい空間を作っています。
細部に宿った特別感は、顧客へ特別な時間を過ごす楽しさを提供してくれます。
(3)スタッフ教育
スタッフ教育は基礎研修を徹底的に行うようです。また、スタッフが誇りをもって働ける環境や権限を与えていることも有名です。
上質な体験は、スターバックスで働くスタッフの意識の高さに担保されているとも言えるでしょう。
上司からの命令でやっているのではなく、自分たちがやりたいからやっている。これがスターバックスの成功を進めた原動力なのだと思います。
(4)地域に溶け込む出店
スターバックスは出店するとき、とても上手に地域へ溶け込みます。
例えば、京都の宇治にある平等院近くに出店したときには、まわりの景観に合わせた店舗デザインに変えています。過剰な装飾をするのではなく、日常の中にさりげなく溶け込むことを好んでいるようです。ギラギラ看板で有名な関西のスーパー「スーパー玉出」とは逆のアプローチです。
3: スターバックスマーケティング戦略とは
ここまでお読み頂いた方ならおわかりかと思います。スターバックスのマーケティング戦略とは、次の4つに注力していることがわかります。
(1)居心地と空間
ゆったりとくつろげる空間。おしゃれな店内。最大限の体験を用意しています。
(2)顧客優先
自分たちの考える「心地よい空間」を用意するのではなく、顧客視点に立った空間を用意しています。
例えば、今では当たり前になったWi-fiやコンセント。スターバックも最初から用意していたものではありません。顧客からの声に耳を傾け、環境を整え店舗改善をしています。
こういった顧客優先の改善を繰り返すのもスターバックスのマーケティング施策の一つと言えるでしょう。
(3)コミュニケーション
スターバックスが顧客とコミュニケーションを取るのは店舗とSNSです。店舗では安心できるやりとり。SNSでは新製品の認知拡大や企業メッセージの発信を行っています。
自分たちで発信したいメッセージをコントロールすることで、テレビCMやラジオCMを使わなくても認知度は拡大しています。
(4)インスタ映え
これはスターバックスが狙った結果ではないと思いますが、結果としてインスタ映えはスターバックスのマーケティングに影響を与えていることでしょう。
スターバックスという空間で自撮りするだけで「リア充」になれます。手元にフラペチーノを置くだけでグンと映えます。「おしゃれなところでできる自分」を感じられるのも楽しいですね。
一般的なカフェよりは高いですが、インスタ映え効果を考えると安いわけです。女子高生や大学生が利用するのもわかります。
4: まとめ
スターバックスのマーケティングは、自分たちの信じることを追求した結果、こういった形になっているのだと思います。周りのカフェは自分たちと違う路線を選んだとしても、スターバックスが変わってしまうことはありません。
もしスターバックスが路線変更し、マクドナルドのように変わったなら1杯100円だったとしてもお客さんは減ると思います。
僕たちも「体験」「らしさ」「顧客優先」を忘れずに、マーケティングを考えていきたいですね。
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