社員75人未満の社長の仕事とは
大企業をはじめとする上場企業なら、社長の仕事といってもやるべきことが明確になっています。
どのように考えてみても大企業の社長がやる仕事というのは「経営」であり、電話対応やお客様のところへ担当者と一緒に足を運ぶことではありません。
仕入先との交渉をしたり、社員ひとり一人の健康状態や勤務態度を逐一気にかけたり、「がんばりすぎじゃない？有給とったら」なんて言うことはないでしょう。
しかし、日本経済の中でもっとも多い中小企業に目を向けると、こんなことを社長がやっているところもあるはずです。
やるのは別にいいと思うのですが、こういうことばかりに意識が向けられ時間をつかっているのなら、それは本来やるべき「社長の仕事」をやっていないことになります。
そこで今回は、忙しさに負けてしまい忘れがちになってしまうことも多い「社長の仕事」について一緒に見ていきたいと思います。
1: 社長の仕事で必ずやること
社長の仕事には様々なことがあります。でも、これからお伝えする仕事は「必ず」社長がやらなくてはいけないことばかりです。
(1)決断する
会社が法人格をもっていたとしても、社長の決断によって動かなくてはなりません。
社長が最初から最後までひとりで決めてしまう会社は、社員から嫌われる傾向にありますが、最終的な決断は社長であるあなたが明確な気持ちを表現した上で決断するべきなのです。
このようなことは、すでにあなたもご存じのことだと思いますが、残念ながら会社の危機が訪れても
「自分が責任とるのはイヤだな」「自分が悪者になるのは困る」
こんな子供のような理由で、決断することを他の社員へ振ってしまう社長もいるのが事実です。
しかし、思い出していただきたいのですが、会社にとって社長はトップです。
スポーツチームに例えれば監督です。トップという立場にある以上、決断することによる責任から逃れられることはありません。
また、あなたの会社の社員が決断し、その内容を推し進めたとしても、結果に対する責任は「決断した社員」にあるのではなく、最終的に了承した社長にあることは代わりありません。
(2)資金繰り
お金の段取りは社長の仕事です。
社長以外の社員が銀行に顔が効くのなら、これは困った状態でしょう。
税金に関することも含めて、会社の運営に必要な「お金」に社長が無頓着ではいけません。
経理処理は社員がやっているとしても、結果の数字を社長は確認し、会社の状況を数字という事実から理解しておかなくてはなりません。
お金に関する状況を社長が理解していないのなら、新しいビジネスを考えてスタートすることはできません。いくら借り入れすればいいのかもわからなければ、そもそも借り入れする必要があるのかどうかもわからないのですから、新しいことへ向けて行動を起こすことはできません。
そして、困ったことに経営状態が右肩下がりになってから、あわてて「お金」に関心を寄せる社長さんもいらっしゃいますが、大変残念ながらこういった状況で関心を寄せても「手遅れ」というのが実情でしょう。
(3)人の育成
管理職は社長自ら育成する必要があります。
社長が行っている仕事を管理職へ振ることができないと、社長の仕事が増えるばかりで、新しい事業やアイデアを創出することもできないでしょう。
人の育成は時間が必要ですから、地道な指導を行うことが必要です。
2: 社長の仕事で気をつけたいこと
会社の社長とは、あたりまえですが「仕事のできる人」です。
社長よりも仕事のできる人がいるなら、その人は独立して社長になっています。そしてあなたが部下になっているはず。でもこんなことになっていないのですから社長が一番仕事のできる人なのです。だからこそ、社長は「仕事の抱えすぎ」に注意することが必要です。
社長は会社を立ち上げ、安定した経営をしているわけですから、何でもできてしまう人が多いもの。
そのため、ついつい社員に任せておけばいい仕事まで、自分が抱え込んでやってしまおうという人も多いです。
仕事の抱えすぎは、自分の時間や健康、家族との時間が取れなくなります。身動き取れない状態になってしまうため、ストレスもすぐに高まりますし、その影響で内臓に不調をきたすこともあるでしょう。
仕事を抱えすぎるのをやめることは、社長にとって難しいことではありますが、会社のトップがアップアップしていてはいけません。
3: 社長の仕事って結局なんなの？
社長の仕事って「よくわからない」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
(1)頼れる・儲かる・安定する
この3つを社員や得意先、仕入先に感じてもらえることが大切です。
ある意味「カリスマ性」とも呼べるでしょう。
(2)経営センスを磨く
社長たるもの、経営のセンスは磨き続けなくてはいけません。そのためには、勉強や努力を惜しんではいけませんし、新しいことへのチャレンジも積極的に行うことが大切です。
(3)現場を知る
社長になると現場は任せきり。大手企業ならOKかもしれませんが、大手企業でないのなら現場の状況を知っておくことは大切です。
社長が現場を知らないと、現場で働く従業員の評価を正しく行うことができません。間違った評価は、従業員からの信頼を失うことになり、一般的には「仕事のできる従業員」が先に退職していくことになります。そして残ったのは使えない従業員ばかりというのも「あるある」です。
(4)接待や会合
社長になると「増加傾向」という人もいます。増えることは問題ではありません。
問題なのは「増えた接待や会合」が、プラスの効果を生みだしているのかということです。
外部との関係性構築、従業員との関係構築はどちらも社長の仕事として重要なことですが、プラスの効果を引き出していないのなら考え直すことも大切です。
(5)会社の顔
社長は会社の顔です。
そのため、会社としての利益を求めて進むだけではなく、地域貢献なども行うようにして「従業員が誇りに思える社長」を目指しましょう。
現在はあちこちで「SDGs」というキーワードを聞くことが増えました。あなたの会社も「SDGs」を参考にして、持続できる地域貢献を考えてみてはいかがでしょうか。
4: まとめ
会社は利益を追い求めます。そのために社長は仕事をします。これは間違いではありません。資本主義の国であれば当然のことです。
しかし、今回お話しましたような「社長の仕事」を意識しておいていただくことで、自分だけが豊かになる「イヤな社長」ではなく、従業員も地域も豊かになることを目指している社長になることができるのです。
このような仕事をする社長は、従業員からも地域社会からも尊敬され慕われる存在になれるでしょう。
さらに尊敬され慕われる人は「人間力」も高まっていますので、より有利な取引先との出会いにもつながるはずです。
