差別化がビジネス戦略の成功に重要な理由
学びを止めない経営者の方なら、ビジネス書を手に取られることも多いはず。でも、ビジネス書を読んでみても実際に仕事に生かせるかというと、なかなか難しい。
特にビジネスに関することは、思ったように使いこなせないことも多いですし、自分たちの会社では話が大きすぎて「使い道がわからない」ということもあると思います。
そこで今回は、中小企業や個人事業主の方にとって大切な、「差別化」を活用したビジネス戦略の話をお伝えしたいと思います。
- 京セラ
- 松下(現パナソニック)
- トヨタ
こうした企業の話は「なるほど、いい話だ」と思えますが、自分たちの会社では使いづらいことも多いです。まずは自分たちの会社の規模やリソースに見合った方法から着手し、結果が感じられてから大手の話を進めてみてはいかがでしょうか。
目次
1: 差別化がビジネス戦略の成功に重要な理由とは
大手であっても、中小企業や個人事業主であってもビジネス戦略に必要なのは「差別化」です。
ビジネスとは誰かに選んでもらわなくてはいけませんから、選ばれるためには「他とは違う」何かをもっている必要があります。
仮にこうした「他とは違う」何かを全くもっていない会社があったとすると、いつまでも苦しい経営状態のまま、下請け仕事を続けることになるのは目に見えています。
反対に下請け仕事から脱却し、自分で顧客を見つけ、自分の商品やサービスを直接提供するのであれば「他とは違う」部分を知ってもらわなくてはいけません。
そして差別化が出来ると、業界や市場で「ポジショニング」も出来てしまいます。地域で見ると「ここしかない」企業になっていたり、「この人しか提供できない」と言われる「一目置かれる」お店になっていたりします。
このようなポジショニングが成功すると、大手企業がやってきてもあまり怖くありません。全国展開するなら大手企業は競合になりますが、地域ビジネスなら互角に戦えるだけの力を持ち合わせていることになります。
2: 差別化をビジネス戦略で活用するには
差別化をビジネス戦略で活用するためには、次のことを理解しておかれるとスムーズに合理的に使うことができるでしょう。
(1)人気の秘訣を理解する
売れる商品やサービスには公式があります。
- 人は「なじみ」のあるものを好む
- 人は「意味」がわかるものを好む
- 人は「心地よい」ことやモノを好む
また、次のようなことも好みます。
- 新しさ
- チャレンジ
- 驚き
上の3つと下の3つを見ると相反していることがわかります。本来、「なじみ」のあるものには「新しさ」は感じられません。
「チャレンジ」することは「心地よさ」からの脱却です。「意味」がわかるものに「驚き」は生まれません。
しかし、人はこの相反した2つを掛け合わせたサービスや商品が大好きなのです。
どちらか一方だけですと「飽きられる」か「受け入れられない」という結果になります。差別化をビジネスで活用するときは、この相反した2つを「ほど良く」つなげたものを用意することが重要です。
(2)コストリーダーシップ戦略
人気の秘訣の次は、具体的な戦略について見ておきましょう。
コストリーダーシップ戦略とは、幅広いターゲットへ低価格を武器にアプローチしていく方法です。
- ユニクロ
- ヤマダ電機
- ニトリ
これらの企業は同じような商品を扱う市場の中で、平均よりも少し安い価格で販売する仕組みで成功しています。
低価格というのは、消費者から見て最もわかりやすい差別化です。
(3)差別化戦略
他の企業が持たない特徴を生かし、業界内でのポジションを高める方法です。
代表的なのは「スターバックス」です。商品や価格ではなくブランドの魅力で差別化しています。
他では作れない商品やサービスを得意としているなら、この戦略がおすすめです。
(4)集中戦略
特定の地域や特定の消費者へ向けて、セールス資源を集中的に投入する方法です。
小さな会社にとって、もっとも行いやすい戦略です。
集中戦略にコストリーダーシップ戦略や差別化戦略を組み合わせることで、限られた範囲の中で高いポジションを築き上げることができます。
3: 差別化するために必要なUSPを見つける3つのポイント
差別化をしようと思っても、差別化のポイントが見つけられない。このようにおっしゃる経営者の方も多いです。
そこで、差別化に必要なUSPを見つけるポイントをお話します。
(1)USPとは
まず、USPとは何か、おさらいしておきましょう。
- U:Unique → 独自性
- S:Selling → 提供するものやサービス
- P:Proposition → 提案
「自社の強みが提供できること」と訳すことができます。
(2)USPを見つける3つのポイント
USPを見つけるためには、3つのポイントがあります。
[1]誰・何・どのように
商品やサービスを提供するとき、最も大切なのは「誰に」提供するのかを知ることです。
ターゲットとなる人物像が明確でないと、商品やサービスのデザインやメッセージを作ることができません。
次に「何を」提供するのかです。ここで大切なのは、自分たちが提供できる商品やサービスで、ターゲットの悩みをどのように解決できるのかを理解することです。
例えば、おしゃれなスマホケースが欲しいターゲットへ、機能性だけ高いケースを勧めても関心を持ってもらえません。
ターゲットと提供する商品やサービスが決まると、最後は「どのように」伝えるのかを考えます。
いくらすばらしいデザインやキャッチコピーが完成しても、ターゲットが関心を寄せていない場所へ発信すれば興味を持ってもらえません。
[2]セールスポイント
商品やサービスの特徴やメリットを洗い出しましょう。
どのような悩みを解決できるのか。解決した未来には、どのような人生が待っているのか。こうしたことも大切ですから、一緒に書き出しておくことが必要です。
[3]ストーリー
商品やサービスを販売することになったストーリーをまとめましょう。
人はストーリーに引き込まれやすいものですし、ストーリーの方が覚えてもらえる可能性が高くなります。
また、ストーリーで話すことで、ターゲットが自分の生活の中でどのように活用すれば良いのか想像しやすくなります。
4: 小さな会社だからこそ差別化は最重要!
小さな会社だからこそ差別化することで、大手企業が手を出しづらい消費者層へ訴求することができます。
というのも、大手企業の場合は大きな市場性がないと利益を出すことができません。しかし、小さな会社なら、そんなに大きな市場でなくても利益を出すことができます。大手企業の1%の市場を自社が握ったとしても、簡単に売上がアップすることは経営者の方ならおわかりいただけると思います。
また、小さな会社だからこそ、消費者のニーズに近いため、「あと少し○○だったら」という商品やサービスを提供しやすくなります。
5: まとめ
小さな会社だからこそ、今回お話しました「差別化」を意識していただきたいと思います。ちょっとした違いを知ってもらうことで、地域で一番になることもあります。
どのような環境でも「一番」と「一番以外」では、影響力が違いますし、まわりから注目される度合いも違ってきます。
本当に小さな小さな市場でかまいません。とにかく差別化して一番を狙いましょう。たった一つの一番から、次の一番が生まれ、二つ三つと増えていくことで自然と強い影響力を持つ会社に成長できます。