「下請けの仕事だけでは、利益が残らない」

「元請けの会社に価格を決められてしまう」

「集客をがんばろうと思っても、何から手をつければいいか分からない」

外壁塗装業の社長さんから、こういう相談を受けることがよくあります。

集客方法を検索すると、ホームページ、チラシ、SNS、Googleビジネスプロフィールなど、やり方はいくらでも出てきます。SONIDOでも別記事で7つの集客方法をまとめています。

ただ、その前にひとつ、正直に確認しておきたいことがあります。今の会社は、集客を始める体制ができているかという点です。

体制が整っていないまま集客だけを強化すると、こういうことが起こります。問い合わせは増えた。でも対応が後手に回って、契約に至らない。せっかく広告費や時間をかけたのに、成果が数字に出てこない。これは、集客のやり方が悪いのではなく、順番が逆になっているケースがほとんどです。

この記事では、集客方法そのものではなく、その手前にある「経営・体制」の整え方を、できるだけ具体的な数字とセットで解説します。

下請けのままだと、何が起きているのか

下請けの仕事には、はっきりしたメリットがあります。

  • 元請け会社が営業してくれるため、自分で集客しなくても仕事が来る
  • 見積もりや契約のやり取りを元請けが担当してくれる
  • 未経験の分野でも、元請けの指示に従えば施工ができる

独立したばかりの時期、この安定感に助けられた方は多いはずです。仕事がゼロの状態よりは、下請けで仕事があるほうが確実にいい。これは事実として認めておく必要があります。

問題は、下請けに構造的な弱点があることです。

  • 工事金額から元請けの中間マージンが差し引かれる
  • 元請けの受注状況によって、自社の仕事量が左右される
  • お客様と直接やり取りする機会が少なく、信頼関係や口コミが自社に蓄積されない
  • 価格や工期を自社で決められない

数字で見るとわかりやすいので、具体例で比べてみます。

同じ100万円の外壁塗装工事があったとします。

下請けの場合、元請けへの中間マージン(現場や業界によって差はありますが、2〜3割程度が一般的)が差し引かれ、手元に残るのは70万〜80万円前後。そこから材料費・人件費・経費を引くと、利益はさらに小さくなります。

元請けとして直接受注できれば、100万円がそのまま自社の売上です。そこから材料費・人件費を差し引いた分が、丸ごと自社の利益になります。同じ現場、同じ手間なのに、手元に残る金額はまったく違います。

下請けの仕事がすべて悪いわけではありません。仕事量が安定するという利点は、今後も活用できます。問題にすべきは、下請けに9割・10割と依存しきっている状態です。

自社の「下請け依存度」を、まず数字にする

集客を始める前に、次の3つを数字で確認してください。感覚ではなく、実際の数字で見ることが最初の一歩です。

1.下請け案件と元請け案件の売上比率

直近1年の売上を、下請け案件と元請け案件に分けて集計します。

「8割くらいかな」と思っていたら、実際は9割を超えていた——というケースは珍しくありません。請求書や入金記録を見返すだけで、思っていたよりはっきりした数字が出てきます。

2.案件ごとの利益率

下請け案件と元請け案件で、それぞれどれくらいの利益率になっているかを比較します。

先ほどの100万円の例のように、同じ作業量でも下請けと元請けでは手元に残る金額が大きく変わります。これを実際の自社データで出してみると、「元請け案件の利益率は下請けの1.5倍だった」というように、経営判断の材料になる数字が見えてきます。

3.仕事量が誰に依存しているか

今の仕事量が、特定の元請け1〜2社に集中していないかを確認します。

依存先が偏っていると、その会社の受注状況が悪化したとき、自社の仕事量も一気に落ち込みます。逆に、複数の元請けや複数の受注ルート(工務店、不動産会社、リフォーム会社など)を持っていれば、1社の状況変化に振り回されにくくなります。

この3つを数字にすることで、「なんとなく下請けが多い気がする」ではなく、「下請け比率9割、元請け案件の利益率は下請けの1.5倍、依存先はA社1社に集中」という、具体的な経営課題として扱えるようになります。数字にした瞬間に、次に何をすべきかが見えてきます。

元請けとして選ばれるために、整えておきたい3つの体制

集客の仕組みを作る前に、この3つができているかを確認してください。ここが不十分なまま集客だけを強化すると、問い合わせが来ても契約につながりにくくなります。

① 自社の強みを、具体的な言葉にする

下請けの仕事では、元請けの指示に従って施工するだけで済みます。しかし元請けとして選ばれるには、「なぜこの会社に頼むのか」をお客様自身に伝える必要があります。

ここでよくあるのが、「丁寧な仕事をしています」「地域密着でやっています」という、どの会社にも当てはまる言葉で止まってしまうパターンです。これでは、下請け時代の自己紹介と変わりません。

強みは、具体的な数字や事実とセットで言葉にします。

  • ❌「丁寧な仕事をしています」
  • ⭕「下地処理に他社より1〜2時間多く時間をかけ、ひび割れの補修から仕上げまで一貫して自社の職人が担当します」
  • ❌「地域密着でやっています」
  • ⭕「藤沢市・鎌倉市を中心に、過去5年で320件以上の外壁塗装を施工。近隣の施工実績があるので、現地調査の日程調整もスムーズです」

こういう形で、次のような要素を棚卸ししておきます。

  • 得意な工事の種類(外壁塗装、屋根塗装、防水工事など)
  • 保有資格(一級塗装技能士など、信頼の証になる資格)
  • 使用する塗料や工法へのこだわりと、その理由
  • 対応エリアと、地域での施工実績(件数や年数)
  • 保証やアフターフォローの具体的な内容

② 建設業許可の要否を確認する

請負金額が500万円未満の軽微な工事であれば、建設業許可は法律上不要です。

ただし、許可を取得していると、お客様から見た信頼性が上がります。特に高額な工事や、大きな現場を任されたい場合は、取得を検討する価値があります。見積書や名刺に「建設業許可 第〇〇号」と記載できること自体が、無許可の同業者との差別化材料になります。

「許可がないと仕事ができない」わけではありません。「許可があると選ばれやすくなる」という位置づけで考えてください。

③ お客様対応の窓口と流れを、あらかじめ決めておく

下請けの仕事では、お客様対応は元請けが担当していたはずです。元請けになると、この対応をすべて自社で行う必要があります。

  • 問い合わせへの一次対応(電話・メール・フォーム、誰が何時間以内に返すか)
  • 現地調査の日程調整
  • 見積もり・提案書の作成(誰が、どのくらいの日数で出すか)
  • 契約後の工程連絡
  • 工事後のフォローや保証対応

これらを「誰が」「どのタイミングで」対応するのかを、事前に決めておきます。社長がすべて一人で担当する場合は、現場作業とのバランスも考えておく必要があります。忙しい現場が続く時期に問い合わせへの返信が数日遅れる、という状態は、せっかくの集客の成果を取りこぼすことになります。

元請け化は、一気に進めなくていい

下請けを完全にやめて、いきなり元請け100%を目指す必要はありません。仕事量が急に不安定になるリスクがあるためです。

現実的なのは、下請けの仕事を残しながら、少しずつ元請け案件の比率を上げていく進め方です。

期間 元請け比率の目安 やること
短期(3〜6か月) 約2割 強みの言語化、対応窓口の整備、ホームページの土台づくり
中期(1年) 約5割 集客施策の本格運用、施工事例の蓄積、口コミ・紹介の仕組み化
長期(3〜5年) 元請け中心で安定 下請けは選択的に。自社ブランドでの安定経営

この移行を管理するために、次の指標を月次でチェックすることをおすすめします。

  • 月間の新規問い合わせ件数
  • 見積もり提案から契約に至る成約率
  • リピートや紹介での依頼率
  • 下請け案件と元請け案件の平均利益率の差

たとえば「今月は問い合わせ8件、成約3件、成約率37.5%」というように、毎月同じ形式で数字を残していくと、半年後には「問い合わせは増えたが成約率が下がっている」といった変化にも気づけます。数字で進捗を追うことで、「なんとなく頑張っている」状態から抜け出し、目標に対して今どの位置にいるかがわかるようになります。

体制が整ったら、集客方法を選ぶ

ここまでの経営・体制の準備ができてはじめて、集客方法を検討する段階に入ります。

ホームページ、ブログ、Googleビジネスプロフィール、チラシなど、外壁塗装業に向いている集客方法とその始め方については、外壁塗装業(中小企業)の7つの集客方法と成功へのコツで詳しく解説しています。

集客方法を先に始めてしまうと、問い合わせが来ても対応の窓口が定まっていなかったり、強みを聞かれてもうまく答えられなかったりして、機会を逃してしまいます。順番としては、体制 → 集客の流れが望ましいです。

まとめ

外壁塗装業が下請けから元請けへ移行するには、集客方法を探す前に、次の点を確認しておく必要があります。

  • 下請け案件と元請け案件の売上比率・利益率を数字で把握する
  • 自社の強みを、具体的な数字や事実とセットで言葉にする
  • 建設業許可の要否を確認する
  • お客様対応の窓口と流れを、社内で決めておく
  • 下請けを残しながら、段階的に元請け比率を上げる

元請け化は、一気に進める必要はありません。短期・中期・長期でロードマップを描き、月次で数字を確認しながら進めることが、無理のない移行につながります。

体制が整った段階で、外壁塗装業の集客方法【完全ガイド】を参考に、自社に合った集客施策を選んでください。

よくある質問

Q下請けの仕事は、完全にやめた方がいいですか?
A

完全にやめる必要はありません。下請けには仕事量が安定するという利点があります。元請け案件の比率を段階的に上げながら、下請けは選択的に残す進め方が現実的です。いきなり下請け0を目指すと、仕事量が急に不安定になるリスクがあります。

Q建設業許可がないと、元請けになれませんか?
A

請負金額が500万円未満の軽微な工事であれば、建設業許可がなくても元請けとして受注できます。ただし、許可を取得していると信頼性が上がり、より大きな工事や高額な案件を任されやすくなります。

Q元請け化にはどれくらいの期間がかかりますか?
A

会社の状況によって異なりますが、目安として短期(3〜6か月)で元請け比率2割、中期(1年)で5割、長期(3〜5年)で元請け中心の経営、という段階を踏むケースが多いです。焦らず、数字で進捗を確認しながら進めることが大切です。

Q集客を始める前に、何を準備すればいいですか?
A

自社の強みを具体的な数字や事実とセットで言葉にすること、建設業許可の要否を確認すること、問い合わせに対応する窓口と流れを社内で決めておくことが必要です。これらが整っていないまま集客を始めると、問い合わせが来ても契約につながりにくくなります。

Q下請け比率はどうやって計算すればいいですか?
A

直近1年の売上を、下請け案件と元請け案件に分けて集計し、それぞれの割合を出します。請求書や入金記録を見返せば計算できます。感覚ではなく実際の数字を出すことで、思っていたより下請け比率が高いことに気づくケースも多くあります。

元請け受注につながるホームページ、一緒に設計します

「下請けの仕事だけでは、利益が残らない」

「元請けとして選ばれるホームページに作り直したい」

「集客を始めたいが、何から手をつければいいか分からない」

このような場合、SONIDOでは自社の強みの言語化から、それを反映したホームページの設計・制作までをサポートします。

下請け比率の整理や経営判断そのものは、社長ご自身が一番よく分かっている領域です。SONIDOがお手伝いできるのは、その強みを「元請けとして選ばれる形」にホームページへ落とし込むところです。

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