大型商談に効くSPIN営業術とは ~成約率をアップさせろ~
書店でビジネス書エリアを眺めると「SPIN」という文字を見かけることが増えてきました。
どうもこれまでの営業マンが活用する営業術とは違い、どちらかと言えば受け身な印象の方法みたいです。
そんなSPINを今回は説明していきたいと思います。
1: 大型商談の流れを整理
大型商談の定義はマチマチです。
金額が100万円なら大型商談という人もいれば、1000万円を超えないと大型商談じゃないという人もいらっしゃることでしょう。
また、1億超えないと大型じゃないよ、と考えておられる経営者の方もおられるはずです。
ですので、この記事での大型商談とは金額ではなく、
「あなたが何回も足を運び商談しても大きな利益が見込める」
このような商談と定義しておきたいと思います。
このような定義の元、大型商談の流れを考えてみますと、次のような流れになるでしょう。
(1)見積もりなどの前に、顧客の要望を聞き出す
↓
(2)要望の中から根源的な問題点を見い出す
↓
(3)解決策を提示するプレゼンなどを行う
↓
(4)顧客が時間をかけて検討する
↓
(5)承認がおりれば受注
大まかにはこういう流れになります。
そしてこの中の1と2に大変な時間と労力を使うことになります。
何度も足を運んで打ち合わせをし、担当者の上司を交え会議を行い、また担当者と打ち合わせをし、突然役職者に説明を求められ、、、
そんなことが繰り返し続きます。
それでも、ここで時間と労力を使っても、大きな利益が見込めるのが大型商談。
これが小型商談だったとすると、繰り返し足を運んだり、打ち合わせをしたり、よくわからない説明を求められたりして資料を作成したり、
そんなことをすると、すぐに赤字になってしまいます。
まず、SPINの効果を考えたり導入を考えたりする前に、あなたのビジネスでこういった大型商談があるのかどうかを考えてみてください。
2: なぜ大型商談にはSPINなのか
大型商談にはSPINが良いと言われます。
その理由は、SPINの内容と商談の流れが一致しているからです。
SPINとは、次の4つの行動様式を表しています。
S:Situation → 商談相手の現状を理解する
P:Problem → 商談相手がほしいものを明確にする
I:Implication → ほしいものが手に入っていないことへの問題をあぶり出す
N:Need payoff → 問題を解決したときの理想の状態をイメージしてもらう
この流れを見ると、先ほどお話した大型商談の流れの1~3に、ほぼ一致していることに気づきます。
3: SPINセールスを知り大きな成果を手に入れろ
それではSPINの一つ一つをもう少し詳細に見ていきます。
まずSPINとは、英国人行動心理学者である「ニール・ラッカム」という方が考え開発し体系化したセールス技法です。
SPINは、4つの行動様式の頭文字を取って略した言葉です。
- Situation(状況質問) → 顧客の現状を理解する質問をする
- Problem(問題質問) → 顧客の欲しいものを明確にする質問をする。または、欲しいものを顧客自らが気づくような質問をする
- Implication(示唆) → 顧客自らが発言した問題の重要性を認識してもらう
- Need payoff(解決) → 問題を解決したとき顧客がどのような理想の状態に変わっているのかをイメージしてもらう
(1)Situation(状況質問)
顧客の現状、顧客の仕事内容を知るための質問を行いましょう。
間違っても「弊社の商品はどうですか?」という質問ではありません。
顧客が現在、どのような状況にいるのかを知るための質問です。
(2)Problem(問題質問)
状況がわかると、顧客の不満や問題点を聞き出しましょう。
曖昧な答えが出ないように、イエスかノーで答えることができるクローズドクエスチョンが理想です。
「何か困ってますか?」ではいけません。
「○○についてお困りですか?」こちらの質問が必要です。
また、顧客自らが発言した問題点は、すでに自分で認めている為、商談の途中で「それは問題じゃないんです」となる確率が低いです。
これは人間の根源的な行動の一つで、自分で言ったことを変えたくはないという心理です。(あなたも経験があると思います。)
(3)Implication(示唆)
ここであなたの力量が試されます。
顧客が自ら口にした問題点。
この問題点をこのまま放っておくと、どのような損失が起こるのか。
後々、深刻で大きな問題へ発展する可能性があるのか。
こういった部分を指摘します。そして、指摘することで顧客に
「そうそう、その通りなんですよね?」
と、これまた自ら発言し納得してもらえるように質問します。
(4)Need payoff(解決)
ここまでの質問であなたは多くの情報を手に入れています。
- 顧客の現状
- 現状から起こっている問題点
- 問題点を放置することで起こりそうな損失
原因と結果による、近い将来起こりそうな問題を、あなたは顧客自ら発言させ、かなり詳しい情報を手に入れていることになります。
そこで、最後の質問を行います。
その質問とは「どうやって問題を改善したいですか?」というものです。
このように質問すると顧客は
「○○を導入して解決したいですね」とか
「○○で解決できるのか検討してみたいのです」とか
「○○があれば解決すると思うんです」
という答えを返してくれます。
顧客は自分で解決策まで考えています。このタイミングであなたが自社の商品やサービスを提案すると、どんな反応が返ってくると想像できますか。
顧客は自身で問題を出し、認め、解決しない時の損失を認識し、解決するために考えている方法まで口にしているのです。
クロージングは非常に楽だとは感じませんか。
これがSPIN営業術の流れと効果です。
4: まとめ
大型商談を頻繁に行っておられる社長様やセールスパーソンには、知っておいてもらった方が良い営業術ではないでしょうか。
人は誰でも自分の話を聞いてもらいたいものですし、自分で言ったことは最後まで変えたくない生き物です。
そんな人間の感情的な行動を有効に活用したのが「SPIN」なのでしょう。
新しい顧客開拓や、これまでになかったような大型商談が舞い込んできたときには、もう一度この記事を読み直してもらえるとうれしいです。