顧客に嫌われないインバウンドセールスとは?~消費者購買プロセスが変化している~
インターネットの利用者は平成24年に1億人を超え、普及率は80%を上回っています。それに伴い、インターネットショッピングを利用する人も大きく増加していますね。
総務省の報告によれば、インターネット利用者のうちおよそ7割の人が定期的にパソコンや携帯からショッピングサイトへアクセスしています。
また2016年に実施された調査では、インターネットショッピングに費やした金額の平均が1世帯当たり毎年10万円程度と報告されています。
これは初めて調査が実施された2011年のおよそ2倍に当たる数字であり、これからも利用額は拡大していくであろうと予測されています。
このように「買い物をすること」に関する消費者の意識が大きく変化していることを受けて、多くのメーカーが販売戦略の見直しや改善を迫られています。
あなたも「より効果的な仕方で消費者の購買意欲に訴える販売方法」を模索しておられるかもしれません。
ここ数年多くの企業からひときわ注目を浴びている販売戦略があります。それが「インバウンドセールス」です。
インバウンドセールスが成果を上げている理由
インバウンドセールスとは
セールスの手法には「アウトバウンドセールス」と「インバウンドセールス」の2つが存在しています。「アウトバウンドセールス」とは、メーカーから消費者に対して購入を促す営業を行うことです。例えばセールスの電話やダイレクトメールの送付、飛び込みの営業や新聞購読の勧誘などが分かりやすいアウトバウンドセールスと言えるでしょう。
ただしこの手法では常に情報の流れが一方的で、まったく関心が無い消費者に対してもアプローチが行われます。
そうしたケースではセールスを行う人や企業に対して消費者が強い不快感や悪感情を抱いてしまい、トラブルの元となったという事例も少なくありません。
一方「インバウンドセールス」は、消費者が検索エンジンなどを利用して特定の商品やサービスに関する情報を検索する、というステップが基本となります。それに対し企業側は自社のウェブサイトを訪れた人に対して必要な情報を提供します。
つまり自社の商品に関する詳細や、それに付随するサービスに関して説明を行い、消費者の購買意欲を高める努力を払います。このように、インバウンドセールスにおいて主導権を握っているのは消費者の側であり、企業やメーカーに対して「自分が今必要としているものは何か」をはっきりと発信していくことになります。
一方販売する側は消費者からの要求やニーズに合わせ、適宜情報を公開していくということが求められます。この場合、関心を持たない消費者に対してメーカー側から情報の発信が行われるということはほとんどない、という利点があります。
インバウンドセールスの強み
インバウンドセールスという手法が注目されている理由として、「コストの削減が可能」「販売戦略の方向性が定めやすい」という2つのメリットが挙げられています。
インターネットの普及に伴い、消費者が必要とする情報を検索することはますます容易になってきています。例えば電化製品を購入しようと思う場合、消費者は関心のある商品の型番を検索エンジンに入力するだけで、瞬時に「下調べ」をすることができます。つまりその製品が搭載している機能の詳細や月々の消費電力、現時点での平均販売価格や実際にその商品を使っている人の感想まで容易に見つけることができます。
このように、インターネット上の販売サイトを訪れる多くの人は事前に「予習」、つまり特定の商品やサービスに関して調査を行って、ある程度の情報を持っています。そしてその内容に魅力を感じたのでサイトを訪問してきたわけですね。ですからサイトを運営する企業側としては、それら訪問者の購買意欲を高めるよう、魅力的なコンテンツとサイト作りをすること、また寄せられる疑問・質問に丁寧に答えることなどが主な業務となります。
インバウンドセールスは「消費者に自社のサイトを探してもらうこと」が基本となるため、呼び込みのために多額の広告費をかけて大々的な宣伝を行うという必要がほとんどありません。また多数の営業マンを投入して新規顧客確保のために飛び込みの営業をさせるということもありませんから、人件費も大幅に抑えることが可能となりますね。
インバウンドセールスを導入する別の利点として、「消費者のニーズが見極めやすい」というメリットがあります。ホームページを運営する側はサイトへのアクセス内容を詳細に解析することによって、訪れた人々が特にサイト内にあるどのコンテンツに興味を持ち、どのコンテンツには関心を示さなかったのか、自社の商品に関してどんな疑問を持つ人が多いのか、といった情報を手にすることができます。
また自社サイトへアクセスすることにつながった「検索キーワード」を調べることによって、消費者が関心を持っているテーマやトレンドを把握することが可能となります。そうした情報は、インバウンドセールスを採用する企業が販売を拡大していくための戦略を練る上で不可欠なものです。
なぜならそれらの分析に基づいてサイト内のコンテンツを拡充したり、掲載する情報のテーマを変更したりして、より魅力的でより閲覧しやすいサイト作りが可能となるからです。
インバウンドセールスを導入する際の注意点
インバウンドセールスを導入して成功している企業には1つの共通点があります。それは「顧客に対するレスポンスが非常に早い」という点です。
インバウンドセールスは「魅力的なサイト作りをすることにより消費者からのアクションを引き出す」ということが前提となります。とはいえサイトを訪れる人すべてが商品を購入したり、特定のサービスを受けるための契約をしたりするということは期待できません。また大半の人は複数のサイトを同時に検索して「どちらがより質の高いサービスを提供してくれるか」という点を見極めようとしています。
ですからサイトの問い合わせフォームを通じて、もしくは電話やメールなどを通して顧客から問い合わせがなされた場合、どれほど早く対応するかが非常に重要なポイントとなるのです。
「問い合わせを受けてから24時間以内に対応できるのが理想的」と言われており、これによって顧客の満足度や成約に至る可能性は格段に上昇すると言われています。これを実現するためには、顧客からの問い合わせ内容を短時間で判断して相応しい対応ができる人材を確保する必要があるでしょう。
「メールで返答すれば良いか、それとも電話で連絡・確認をする方が適切か」「相手が必要としている情報は何か、購買意欲を高めるためさらにプラスアルファで伝えるべき情報があるか」といった点を見極めることができる、営業と情報管理のスペシャリストが求められます。
そうした人材を有効な仕方で配置することにより、インバウンドセールスの効果はさらに高まり、それが会社としての売り上げにも大きく反映されることとなります。
ファーストステップ
もしあなたが会社の販売戦略見直しを行っており、インバウンドセールスを採用しようと考えているなら、まずは自社サイトのコンテンツ分析を行い、その魅力と努力点を見定めることが大切です。そうすることにより、新規顧客を引き寄せるために改善すべき方向性が定まり、またそのために確保すべき人材も見極めることができるでしょう。
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